9月12日に「ベルサール神田」で開催された「CSS Nite LP, Disk 7『IAスペシャル』」に参加してきました。
今年に入ってから注目度が高まっている「IA(Web情報アーキテクチャ)」について、6名の方から、合計6時間弱のセミナーを受けてきました。
IA はウェブ制作に関するほんの一部
今回の LP7 を受講するにあたって、linker主催で開催された「デザイニング・ウェブナビゲーション読書会」に参加させていただき、本当にありがたかったです。
参考)
それまで、IA のことを「情報構造」とか「レイアウト」とか「ワイヤーフレーム」というもの、といった感じでしかとらえてなかったものを、しっかり勉強することができました。
その linker 読書会を通じて学んだことを、LP7 を通じて改めて復習し、より広く深く勉強することができました。
最初のコンセント・長谷川さんの内容はまさに”復習”といった感じで聴くことができました。
2番目のロフトワーク・林さんの話は、現場でクライアントと共通意識を持つために必要なノウハウをお話しいただき、とても実践的でした。
3番目の佐藤伸哉さんの話は、非常にありがたい話でした。
- IA は全体プロセスの1ステップでしかない
- IA だけでは完結/完成しない
この言葉がしっかり共有できたことが非常に嬉しかったです。
4番目のネットイヤーグループ・坂本さんのセッションは、現場で実践する方法を事前課題を通じて学び、確認できたのがよかったです。このようなワークショップもできるのはありがたいです。
5番目の iA・小久保さんの話も、とても目が覚めるような内容でした。
- IA は新しい、特別な仕事ではない
- IA の考え方は誰でも自分の仕事に生かせる
- ユーザーが見るのは「サイト」ではなく「フロントエンド」
IA という言葉に対する幻想や、ユーザー視点についてはっきりと話していただいたことがありがたかったです。
最後の長谷川恭久(ヤスヒサ)さんのセッションは、話の内容とともにプレゼンパフォーマンスも楽しませていただきました。
ヤスヒサさんのプレゼンの中で「今日みなさんが話された内容は、全体のほんの一部」と話されていたのも、その日1日に学んだことをスッキリさせる言葉でした。トップの写真がその時のスライドです。
佐藤さんもお話しされていたように「IA は全体プロセスの1ステップ」です。
ウェブサイトを企画、構築、運営するためには、IA の他にユーザビリティやアクセシビリティ、コンテンツ、グラフィックデザイン、ビジネスなどの項目もしっかり踏まえて制作して行く必要があります。
IA は「伝家の宝刀」ではない
IA に限らず「SEO」や「ブログマーケティング」、「Web2.0」といった新しい概念や言葉が登場してくると、「これを導入すれば、売上が上がる!」というような幻想をいだく(もしくは、クライアントに抱かせようとする)所が出てきます。
しかし実際はどれも、ウェブサイトの企画・構築・運用など全体における1ステップでしかありません。
新しい概念や言葉に流され、一時的な効果に目を奪われて、踊らされることが多々あります。
LP7 のスピーカーのみなさまはさすがで、ウェブ制作の全体を俯瞰し、しっかりと本質の部分までお話しいただけました。どこぞにいるような「御社のウェブサイトに IA を導入すれば売上があがりますよ!」という内容はみじんもありませんでした。(もともと CSS Nite にはそのようなことを話す人は登壇されませんが。)
IA について学び、実践していくことは必要ですが、IA を神格化してとらわれないようにするという意識が持てたのは非常に良かったです。
IA をクライアントとの共通意識として持つ
私は普段、中小規模のネット通販サイト(ネットショップ)の構築、運用のお手伝いをしております。
その場合、クライアントも中小企業や個人事業であることがほとんどで、ネットショップの構築、運用を行う際に IA という担当をおく必要はない、ということになります。
しかし、ネットショップを構築・運用する上で、
「なぜグローバルナビゲーションメニューの配置を整えなければならないか」
「どうして、キャッチイメージを配置することで売上が上がるのか」
ということをより深く理解してもらうために、IA の概念について基本的な部分をクライアントに理解してもらい、共有することが必要になってきます。
その際に「IA」について、書籍や LP7 などで学んだ内容を話しても、クライアントには理解されにくいでしょう。自分でしっかり理解して、相手にわかりやすく説明しなければなりません。
また、クライアントとの共通意識を深めるため、LP7 の中でも話された
- コンセプトシート(プロジェクトマネジメントシート)の作成と共有
- 競合店舗(競合サイト)の調査
- 同業他社のウェブサイトにおける傾向の把握と、自店舗への応用
といった方法もあります。
IA を真っ正面から話して理解してもらうのではなく、相手がわかりやすい形に落とし込んで理解してもらい、共有してもらうようにする必要があります。
IA をいかに自分の業務、ネットショップ構築/運営に組み込んで実践していくか、ということをしっかり考えて、行わなければなりません。