放送作家の美濃部達宏氏による「おもしろい話」を作り出すためのテクニックを伝える本。
番組を作る放送作家という立場から、プロが使っている「おもしろい話を組み立てるテクニック」を一般の人でも使えるようにした内容です。
『なぜ、あなたの話はつまらないのか?』のポイント
- つまらない話のパターンは、内輪ウケ・自己中心的・ダラダラと時系列・結論を先に行ってしまう。
- 多くの人が共感できるおもしろい話を普段から探す
- おもしろい話のネタが見つかったら、フリを作ってストックする
印象に残った所
おもしろい話の「構成」を考えるための2つの作業
1. おもしろく伝えるために必要な要素をチョイスする
2. チョイスした要素をよりおもしろく伝えるために順序立てる
つまらない話のパターン
- 内輪ウケ話
- 自己中心的話
- ダラダラ時系列話
- 結論ポロリ話
「おもしろい話」とは
私たちは「おもしろい=笑える」と考えがちですが、もう少し視野を広げて考えると、興味深い話や感動した話、あるいは恐い話、泣ける話なども、広い意味での「おもしろい話」だと言えるでしょう。
あなたの話が「おもしろい」か「つまらない」かの判断基準は、それが笑える話であろうと、感動する話であろうと、聞き手が「共感」するか否かで決定されるのです。
スベるリスクを減らすためには、まず「おもしろい」の判断基準が話し手である自分ではなく、聞き手の側にあることをしっかり認識することが必要
経験がないと共感できない
共感のピラミッド
たくさんの人が共通して経験しており、強く共感できるネタ
- 家族(父母、祖父母、兄弟姉妹、夫婦、こども)
- 学校(子ども、学生時代の思い出)
- 食、住
- 恋愛、仕事(会社、お金)
- 芸能
多くの人が経験している(=イメージしやすい)話題を選ぶということは、聞き手をコチラの話に引き込むために、非常に有効な手段
おもしろい話のネタは突然見つかるものではない
アイディアは、頭の中に記憶されていた情報が、外部からインプットされた情報と合わさったときに、もしくは別々に記憶されていた情報が何かのキッカケで合わさったときに生まれます。
さらに大事なことは、思いついたことを書き留めておくことです。
普段から、おもしろい話を積極的にストックしておきましょう。
話題がなければ「質問」する
多くの人が共通して経験していて共感を得やすいネタは、見方を変えればそれだけ多くの人にとって「話しやすいネタ」でもあるということ
もっと共感を得られるテクニック
- 「情けない話」弱みを見せることで相手が安心し、自分にたいして親しみを感じる。
- 「たとえば話」情景をわかりやすくする。難しいことをわかりやすくする。食べ物や飲み物にたとえてみる。
- 「コンプレックス法」自分の見た目で自信のないところ、引け目に感じているところを、あえて話のネタにすることで共感を得る。人柄まで伝えられる。
話を面白くする仕掛け
おもしろさを正しく伝える順序「フリ」と「オチ」
フリは花火の導火線、オチは火薬のようなもの。しっかりフッて、オチを効かせるという正しいステップを踏まなければならない。
「フリ」と「オチ」の作り方
- ネズミ捕り方式:「こうなるだろう」と思わせて、想定外の結果を導く
- 「なのに」方程式:フリとオチで矛盾する内容、まったく逆の内容をつなぐ
人が「このネタを誰かに話そう」と思うとき
人が「このネタを誰かに話そう」と思うとき、真っ先に思いつくのはオチなのです。決してフリから思いつく人はいません。誰かに話をするときには、先にオチを口にしてはいけません。
おもしろい話を作る3ステップまとめ
- 話したいこと(オチ)を見つける
- 「なのに」方程式にあてはめる(フリを作る)
- 「フリ」→「オチ」の順番に並べ替える
世界はすべて「フリ」「オチ」でできている
おもしろさは「フリ」「オチ」で説明できる
- ドラマ「半沢直樹」:[フリ]上司が部下である半沢直樹を徹底的にイジメる。(なのに)[オチ]半沢直樹が上司に倍返しする
- ゴチバトル:[フリ]人気芸能人(なのに)[オチ]ガチでおごる
- AKB総選挙:[フリ]アイドルグループ(なのに)[オチ]ファンの投票によって順位づけされる
- ゴールデンボンバー:[フリ]ビジュアル系バンド(なのに)[オチ]楽器を演奏しない
もっと話の組み立てがうまくなるテクニック
- アバン法:番組が始まる直前に流れる見どころVTR。次ぐ気が見たくなるようなシーンのダイジェスト。見せ場を本の目次のようにして冒頭で伝える。(○○の話なんですけど〜〜)
- Qカット法:番組でCMに入る前に、CMが明けた後の見どころを伝えるVTR。結婚式のスピーチや会社のパーティに使える。(○○さんの話なんですけど〜〜)
- クエスチョン法:話題にするテーマについて、まず聞き手に直接問いかける形でスタートすること。聞き手が自分事だと認識して聞いてもらえるようになる。
話をもっと面白くするためのマル秘テクニック
- シンクロニシティ法:シンクロニシティとは「偶然の一致」のこと。意外な共通点を利用する。[フリ]まったく接点がないとおもっていた(なのに)[オチ]意外な共通点でつながっていた。仕事、住まい、学校などのネタで偶然の一致は作り出せる。
- ギャップ法:いつもと違うキャラを演じる。[フリ]普段は〇〇だと思っていた(なのに)[オチ]実は○○だった。客観的に自己分析してギャップを作り出すようにする。
おもしろい話とは「思いやり」
芸能人やお笑い芸人の方々は、ありとあらゆるテクニックを駆使して私たちを楽しませてくれます。でも、彼らの一番のテクニックは、多くの人を楽しませたいという、”純粋な気持ち”なのです。
今日からおもしろい話をストックする
「おもしろい話」の作り方というのは、意外なほど単純だということがこの本でわかりました。おもしろい話をつまらなくしているのは自分自身だということも。
テクニックを身に着けて、おもしろい話のネタを見つけたら、フリを作ってストックすることから始めましょう。