以前に参加したブロガー勉強会の懇親会にて、隣に座った方と「社会活動」についてお話をした際、「ワーク・ライフ バランス(work-life balance)」というものがあることを教えていただきました。
ちょうど「ワーク・ライフ バランス」の専門コンサルタントとして活動されている方の書籍を見つけましたので、読んでみました。
『キャリアも恋も手に入れる、あなたが輝く働き方』目次
プロローグ
第1章 「仕事」と「プライベート」がうまくいかないのはなぜ?
- こんな”誤解”を持っていませんか?
- 誤解1 仕事で頑張るには、何かを犠牲にしなければならない
- 誤解2 弱みを見せず男性と同じように働くことが、あとに続く女性たちのためになる
- 誤解3 子どもの都合でフルに働けないのは、会社に申しわけない
- 誤解4 女性には、いろいろ人生の選択肢がある
- 誤解5 いったん専業主婦になると、働くのはパートしかない
- 誤解6 仕事のコツを上司や先輩から教わるために、長い時間行動をともにしたほうがいい
- 誤解7 女性は短距離型、男性は長距離型
- 誤解8 若手がすぐ辞めるのは、本人に問題があるからだ
第2章 私はこうして、キャリアも恋も手に入れました
第3章 ワーク・ライフバランスのための小室流仕事術
- ワーク・ライフバランスを支える仕事力
- 職場で大事なのはコミュニケーション力
- 将来のマネジメント力のためにもワーク・ライフバランス
- ワーク・ライフバランスな会社の見つけ方
第4章 信頼できるパートナーの見分け方、つきあい方
- まずは出会い!
- パートナーとのよい関係づくり
- 日常生活でのワーク・ライフバランスはこうして実践!
第5章 ワーク・ライフバランスが日本を救う
- 社会は変わってきています
- 企業の意識も変わってきています
- 個人の意識や働き方も変わってきています
エピローグ
<付録>ワーク・ライフバランスに取り組んでいる企業・自治体の例
「”仕事”と”家庭”の両立」は女性だけの課題ではない
「ワーク・ライフ バランス」を日本語にすると「”仕事”と”家庭”の両立」というのが一番近い言葉になります。ただ、この「”仕事”と”家庭”の両立」というと、主に女性が抱える課題であると捉えられがちです。(現に、アメリカでこのように言うとフルボッコにされ、村八分にされるようです。参考『ハーバード留学記 : Work-Life Balance – 2005/8/2』)
著者もそれまでに勤められていた化粧品会社から独立してワーク・ライフバランス専門のコンサルティング会社を始められるにあたって、以下のように書かれています。
化粧品会社の新規事業として、育児休業者向けの職場復帰支援プログラムは売れていたものの、日本の企業社会における本当の問題は、育児休暇を堂々と取れないことだけでなく、介護やメンタル不全などの事情から労働時間が制約される人が評価されない風潮にあることに気づきました。
日本の経済が成長し、職種や雇用体系が多様化するにつれ、女性の育児休業だけでなく、男性の育児参加による休業、親の介護による休業、ケガやメンタル面からの休業など、さまざまな休業パターンができてきて、それぞれにあわせた復帰支援プログラムが求められるようになっています。
また現在では生涯雇用も保証されなくなり、老後の生活にも不安な面が出てきており、生涯にわたって収入を得るためのことも含めた「仕事」との付き合い方が求められています。
それだけでなく、生涯のパートナーを見つけ、末永く一緒に過ごしていくためにも、誰もが「ワーク・ライフバランス」を考え、取り組んでいく必要があります。
「ワーク・ライフバランス」は今までにもあった概念
「ワーク・ライフバランス」という概念は、実は新しいものではなく、今までにも一部で取り入れられてきた概念なのです。
『父との楽しい会話』という項目にて、以下のように書かれています。
父は今、ある会社の顧問をやっていて、そのときも「今こういう仕事をやっていて、この会社の生産性アップのために残業を何時間減らしたんだ」といった話をしてくれました。
「どうやってやったの?」と聞いたら、「こうこう、こういうふうにやって、利益もこのくらい増えたんだよ」と楽しそうに説明してくれるのです。「それ、ワーク・ライフバランスと同じじゃない」とつっこんだら、「なに言ってんだよ。お父さんは何十年も前からこういう仕事をしているんだ」と返されました。
「生産性アップのために残業を減らす」ことで「利益が増え」、社員の給料となって還元されプライベートが充実し、より一層の仕事力のアップにもつながる、という好循環のサイクルが生まれます。
「残業ゼロ!」→「プライベート充実!」→「仕事力アップ!」→「残業ゼロ!」→・・・・・・、という循環の図式が本の帯にも書かれていますが、このような考え方は以前からあったものです。
ただ、それは一部の人だけに適用されるものであり、女性の抱える育児や体調不良などの特有の課題や、親の介護、病気からの復帰に対してはまだまだ取り入れられるところが少なかったということです。
女性向けに書かれているけど、むしろ男性に読んで欲しい本
この本は、タイトルに「キャリアも恋も」とあることから、メインターゲットは「女性」であると思いますが、むしろ書いてある内容は「(特に管理職以上の)男性」に読んで欲しい内容です。
女性がどのような悩みや課題を抱えているのか、ということを知ることができるだけなく、「ワーク・ライフ バランス」は自分自身にも深く関わりのあるものであること、そして自分だけでなく、家族や社員、社会全体においてより良い生活を送っていけるようにするために必要なことを考え、取り組んでいくことができます。
「私と仕事、どっちが大事なの!?」というセリフは、典型的なカップルのケンカのシーンですが、ここで「仕事」のせいにしたり、「相手」のせいにしたりするのは間違いです。相手も「仕事も大事だし、自分にも責任はある」ということは、十分わかっていることなのです。
「相手に寂しい思いをさせてしまった」こと、つまり「仕事」と「生活」のバランスが取れていなかったことを反省し、バランスを良くするためにはどうすればいいか考え、改善していく必要があります。
Web業界は労働時間も長いという印象のあり、「ワーク・ライフバランス」がとりづらい所ではありますが、業界全体の発展、ひいては社会への貢献のためにも、今のうちからしっかりと取り組んでいこうと思います。