Internet Explorer 6 (IE6)ではダメな理由って、何?

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最近、「IE6 No More」が注目を浴びている。
「Internet Explorer 6 を使う人をなくそう!」という運動で、この動き自体は昨年あたりから活発になっている。

私自身、使用している Windows マシンの Internet Explorer のバージョンは最新の8だし、新しい物の方が良いと(短絡的に)思っている。
しかし「IE6 をなくそう!」という人の意見をみると、「対応が面倒だ!」「制作する際に制限がかかる!」といった、制作者側の都合がほとんどで、使う側のデメリットがあまり聞こえてこない。
実際に利用するユーザーのメリットをしっかり伝えないと、最新ブラウザにバージョンアップしてもらえないのではないだろうか。

Internet Explorer 6 のシェアは全体の3割

今現在、Internet Explorer 6 を利用している人はどれくらいいるのだろうか。
アクセス数は少ないながら、私が運用しているウェブサイトのアクセス解析データを調べてみた。
私が運用している5サイト(平均月間1万UU/4.5万PV)でのユーザーのブラウザ環境を確認してみた所、おおよそ Internet Explorer ユーザーが 85 〜 90%。そのうち IE6 ユーザーは 30 〜 40 %。
つまり、約3割のユーザーが今でも IE6 を使っていることになる。
10%以下なら強制的に CSS を切って非対応にするなどの強硬策も出やすいが、3割もいるとなると難しい。
少しずつ「IE6 は使わないようにしよう!」という呼びかけをして、最新のウェブブラウザに変えてもらうよう、働きかけるのが望ましい状況だ。

IE6 を使い続ける理由

ではなぜ、今だに IE6 を使っている人が全体の3割もいるのだろうか。
Twitter や実際の会話などを通じて、知り合いのウェブ制作者やクライアント、友人などの IE6 ユーザーに聞いてみた所、以下のような回答が得られた。

「知らない」
「わからない」
「ムリ」
「今のままでいい」
「メンドクサイ」

「知らない」

「知らない」という回答をする人は、基本的にパソコン全般に疎く、あまりインターネットを利用することのない人に多かった。
Internet Explorer はパソコン(Windowsマシン)を買った時に最初からインストールされているブラウザであり、それ以外にブラウザがあることさえ「知らない」ということがほとんど。

「わからない」

「わからない」はある程度パソコンを利用しており、インターネットも使っている人。さらに「セキュリティ」とか「バージョンアップ」という用語などは理解しているが、どのようにしたらいいか「最善の選択がわからない」ということが多い。
「知らない」という人よりインターネットに関する知識はあるが、「ヘタなことをするとパソコンを壊してしまうかもしれない」という意識もあるため、Windows の自動更新やウイルス対策ソフトの警告文に逐一ビックリしてしまう。
「知らない」「わからない」という人への対応法は、「じゃあ、私の方で最新バージョンにアップグレードしておきます。」という形でやってあげるのが良い。
ただ、IE6 と IE8(もしくは他のブラウザ)では見た目が大きく異なっており、「どうやって使うのかわからなくなった」という連絡がくることも考えられるので、アップグレードしたときにしっかり指導しておくことと、その後のサポート対応もする必要がある。

「ムリ」

おそらく、IE6 を一番最後まで使い続ける人はこの回答をする人だと思う。
この回答をしたのは、主に会社で使用している人。ウェブブラウザを使用した業務システムが IE6 にしか対応しておらず(もしくは、IE8 などでの動作が保証されていない)、バージョンアップができないということ。
業務システムも一度開発して終わりではなく、保守管理や改善作業も必要。システム開発会社と一緒に、セキュリティ対策の改善や処理スピードの向上などのポイントをアピールしながら、改善するための費用を出してもらい、作業する形になるだろう。

「今のままでいい」

次の「メンドクサイ」と重複する部分も多いが、一般ユーザーでこのように思っている人は多い。
他のブラウザがあること、IE8 が配布されていることも知っていたりするが、IE6 に使い慣れており、特にバージョンアップする必要性が見当たらない。
アヤシいサイトにアクセスすることもないし、今見ているサイトもちゃんと見られるので、今のままで十分満足している、という状況。
この場合、最新ブラウザにすることでのメリット、特に表示速度の改善を体験させてあげるのが効果がある。一度、速くなったのを体験すると、元の遅さには戻れなくなる。

「メンドクサイ」

ある意味、一番不満がたまっている人たち。最新のブラウザを使った方がいいのはわかっているけど「メンドクサイ」。
「IE8 にしたほうがいろいろいいんだろうけど、わざわざアップグレードするのがメンドクサイんだよねー」というのは、多くの人の正直な感想。
ある時、寝て起きたらこびとさんがアップグレードとその他諸々の調整を行ってくれていた、ということが起こっていればいいけど、そんなことはまずない。
せっかく「最新の物を使いたい」と思っている人たちであるのに、救われないのが哀しい。
この場合も、アップグレードを手伝ってあげるのが良い。もし不具合があり、解消できる場合はその対応まで行うようにする。
IE6 から IE8 などの最新ブラウザにアップグレードすると見た目が大きく変わり、操作しづらくなるという不満も出るが、それには慣れてもらうしかない。2、3日もすれば新しいブラウザにも慣れ、最新の環境で利用してもらえるようになるだろう。

IE8 を使うメリットは?

では、今でも IE6 を使用している人が「わざわざ IE8 にアップグレードする」、もしくはその他の最新ブラウザを使用するために示せるメリットはどのようなものがあるだろうか。
この点についても各方面に聞いてみた所、一般ユーザーにとってのメリットは以下の2つが大きいと感じた。

「表示速度が速くなる」
「セキュリティ対策が改善される」

ちょうど「アメとムチ」の両方が揃っている。
「表示速度が速くなる」というのは、パソコン本体のスペックや OS など他の要素によっても左右されるが、最新ブラウザにすることで表示速度が改善されるというのは各所でいわれていることでもある。
一部では、IE6 から IE8 にしたことで1ページ5秒かかっていた表示速度が2秒に短縮された、という劇的な改善結果もあったようだ。
この「表示速度の改善」は数字で示されるよりも実際に体感した方がわかりやすい。
一度、サクサクとページが閲覧できることを体験すると、自分の所でも同じようにしたいという欲求にかられることはまちがいない。
「セキュリティ対策」は、特にパソコン、インターネットに関する知識があまりない相手に対して有効である。
Yahoo!JAPAN や mixi、@cosme、クックパッドなどの企業サイトや、友だちのブログなどを見ている分には問題ないかもしれない。だが、いつか、どこかで悪意のあるサイトや詐欺サイトにアクセスしてしまう、という可能性は0ではない。
そのような危険に対応するため、IE8 などの最新ブラウザにしておかなければならない、ということを薦めることで、やや脅迫的にアップグレードさせることができる面もある。
この他にも IE6 から IE8 などの最新ブラウザにアップグレードするメリットは数多くあると思う。その点を伝えることなく、制作者側、ウェブサイト運用側から一方的に「IE6 はもう使うな!」と言っても、ユーザー側は「なんで?」という疑問しか残らない。
ただやみくもに「IE6よりをなくそう!」というのではなく、快適な環境を望む欲求と、アップグレードに対する不安や障害を取り除きたい欲求の両面を満たすことで、ユーザー自身が自発的にアップグレードするように動くことも必要である。

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