“Webデザイナー”における、「デザイナー」と「アーティスト」

Webデザイナー

今日開催のイベント「Action Blogger’s Night!! Vol.21『”Webデザイナー”の生きる道』」にあたって、ゲストの一人であるふうりさんから、ブログ記事を投稿いただいております。
» 『作ることは、目的じゃなくて手段でしょ?|fuuri.net

お話を聞きながら、私はその場で「違う…」と思わずつぶやいていました。
いや、もう、「人種が違う」に近い感覚を持ちました。この人たちは、私と同じ世界に生きていない。「デザイナー」ではなく「アーティスト」だと思いました。

住さんは、セッションの最初にこうおっしゃいました。

「プロ野球選手は、野球が好きだからプロになるんじゃなく、プレイするのが好きだからプロになるんだと思うのです。みなさんも多分、なにかしら作ることが好きだからWeb屋をやっているんだと思うんですね」

私はこの時点で、違うと思っていました。
好きだからプロになるんじゃない。できるからプロになるんだ。

私はこのイベント開催時には、Action Blogger’s Night!! Vol.20 を開催していたので、詳細がわからない箇所がありますが、ブログの内容などから私なりの意見も書いておきます。

好きでなければ、仕事はできない

プロ野球選手にしろ、Webデザイナーにしろ、「プロ」として仕事をする前にまず「好き」でなければ仕事はできない、と思います。
プロ野球選手になるには非常に狭き門を潜り抜ける必要があり、さらに一軍選手として試合に出て活躍できるのはほんの100人程度しかいません。そして、実働年数も長い人でも20年くらい、短い人は数年でクビになってしまいます。
そのような仕事をして生きていこう、とするならば、まず好きでなければ、やってられないでしょう。
それに比べると”Webデザイナー”というは、プロ野球選手に比べたらなりやすい職業ですが、Web業界が誕生してまだ歴史も浅く、業界としての体系を固めていかなければならない不安定な状況でもあります。
このような不安定な状況でも仕事をしていきたい、という気持ちはよほどの開拓者か起業家でなければ、まず「好き」でなければできる仕事ではないと思います。

“Webデザイナー”は「お金を稼ぎたい!」という人は見向きもしない職業

Webデザイナーという仕事は、業務内容によっては「生涯現役」としても活動できる仕事だと思いますが、圧倒的な収入を得るのは難しい職業です。
Webデザイナーの平均年収|専門・クリエイティブ – 転職ならDODA(デューダ)』によると、25歳から29歳のWebデザイナーの平均年収は368万円、30代のでの最高額でやっと年収1000万円です。
また、クライアントにおいても、「プロ」が制作するウェブサイトと、個人が趣味で制作するウェブサイトの違いがわかりづらい部分が多く、「タダでできるんでしょ?」という誤解が蔓延しており、作業内容・作業量に応じた正当な金額の請求、料金体系が確立されていないのも現状です。
一方で「IT系で起業して成功した!」とか「ネットで稼ぐ!」という話を耳にすることもありますが、それらの多くはごく限られた人たちによる話であるか、Webデザインとは違う分野で「儲ける仕組み」を構築した人か、単なるまやかしであるかのどれかです。

クライアントの求める物を制作することと、自分の欲求を満たすものを作ることは別物

ふうりさんの記事にて伊かのように書かれています。

私がWeb屋をやっているのは、誰かの役に立ちたいから。誰かの望みを叶えたいから。
誰かのために何かを作ることに喜びを感じているのです。そこに「自分の作品を作りたい」という気持ちはまったくありません。私が作るものは「私のもの」ではなく「誰かのもの」になります。それがうれしいのです。誰かが、私の作ったものを喜んでくれるから、私はこの仕事をずっと続けているのです。

また、住さんのブログ記事『手を動かすのが好きだ | 住 太陽のブログ』にて、以下のように書かれています。

僕が言いたかったのは、クライアントのために手を動かすのもいい(これをやらないと飯が食えない)し、それはそれで大きな喜び(ギャラももらえるし)なんだけれども、その一方で、自分のために手を動かすというのもやっておいたほうが、きっと作り手としての楽しい人生があるんだろうな、ってことです。

クライアントの求めるウェブサイトを制作するすること、「誰かの役に立つこと」は「プロとして仕事をする」上では大前提だと思います。
クライアントは、ウェブサイトを通じて、自社の製品やサービスの認知度を高め、顧客を集め、売上・利益を上げるのが目的です。そのためにWebデザイナーは、人目を引くビジュアルデザインを行い、使いやすい設計を行い、SEOやサイト更新管理のしやすいマークアップ・コーディングによる構築をします。
その一方で「アーティスト」として、芸術性を高め自分の創作意欲を満たすWebデザインを行うことも、自分の能力を高める一つの方法でしょう。ただ、これについては、無理にWebにこだわる必要もないでしょう。
油絵を描いたり、彫刻を彫ったり、サッカーや野球をしたり、音楽活動したり、Web以外の活動でも自分の「クリエイティブ」な側面を満たすことはできます。また、Web上だけでは見えない部分も多く見つかることもあるでしょう。
ただ、「仕事」として制作するウェブサイトにおいて、「アーティスト」としての作品を求められていない限り、「アーティスト」の要素は必要ないでしょう。
クライアントも見た目がきれいでカッコいいウェブサイトが好きで(一部、そういうサイトの方が良いと誤解されていま)すが、本当に求められているのは先に言ったように、製品やサービスに対する認知と向上であり、顧客獲得であり、売上・利益の向上であることがほとんどです。

ウェブサイトを「作ること」における、「手段」とは

ふうりさんの「作ることは、目的じゃなくて手段でしょ?」という問いに対する、私なりの回答としては、「クライアントの求めるものを提供する手段」であり、Webデザイナーとしても「生活費を得るための一つの手段」ということです。
「”自分が作りたい”ウェブサイトを制作する」という目的を達成するだけなら、趣味で制作するだけで済むレベルです。そこから先、制作したウェブサイトを「みんなに認めて欲しい!」と願うなら、それなりに行動する必要があります。
友人・知人にウェブサイトを見せて評価してもらったり、ブログデザインコンテストに応募したり、ソーシャルサービスなどを活用して多くの人に見てもらったりして、「このサイト、いいね!」と認めてもらうと良いでしょう。
私もどちらかというと、Web制作をする、ネットショップを構築するのは、クライアントやネットショップ店長さんたちのお役に立ちたいから、という気持ちが強いからであり、「自分の作りたいウェブサイトを製作したいから」という気持ちはあまりありません。
その一方で「みんなに長く使ってもらえるウェブサイトを制作したい!」という気持ちもあり、いくつかウェブサイトの内容も考えています。それについても、あくまでWebデザインを行うのは手段の一つであり、「制作したウェブサイトを通じて、ユーザーの生活をちょっとでも良くする」というのが目的です。
5年後、10年後、ユーザー一人ひとりが理想する生活が現実のものとなるように、ウェブ・インターネットを通じてどのようなことができるのか、ということについてお話して、”Webデザイナー”の一人として行動していければと思います。

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