PayPerPostサービスのあり方

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PayPerPost

『そんなんじゃクチコミしないよ。』を読んで。
ブロガーに報酬を支払って記事を書いてもらう「PayPerPost」は、最近ではほとんど否定的な側面でしか意味を成さなくなっている気がします。

PayPerPostに関わる三者の相互関係によってスパム化は進む

現状の「PayPerPost」は、広告を出稿する企業側にとってはリンク数を稼ぐためのもの、記事を書くブロガーにとってはお小遣い稼ぎ、サービスを提供する会社にとっては流行のサービスで短期的に収益が上がりやすい事業、という(ネガティブな側面で)三者にとっての(目先の)利益が生まれる仕組みになっています。
リンク数が増えて効果が上がる以上は企業はサービスとして利用しますし、毎日10分の作業で月に5,000円位のお小遣いが増えるのならユーザーはブログ記事を書きますし、短期的に儲かるのでサービスを提供する会社も増え続けるでしょう。
2008年のブロゴスフィア予測」でも書いたのですが、広告を出稿する企業・記事を書くユーザー・サービス提供会社の三者が三者とも目先の甘い汁を吸い続けることで、検索エンジンはスパムに占拠され、使い物にならなくなっていくことでしょう。
GoogleやYahoo!検索、Technoratiなどの検索エンジンは、それぞれスパムに対して日々改善していることと思いますが、根本的な解決が見えてこない状況だと感じます。

PayPerPostの良い例

ただ、全てのPayPerPostがダメというわけではなく、良いやり方もあります。

初期のプレスブログでやった、パスタの試食キャンペーン(コンビニで買って食べてから記事を書いてね、パスタ代は払うからというキャンペーン)などは良かったと思います。だからこそぼくも当時は強く支持しました。

製品やサービスを利用するにあたって、あらかじめブロガーに「商品を購入」してもらう、というハードルを設けることでより一般のお客様に近い感じを持って記事を書くことができるようになります。
テレビ朝日の深夜番組「虎の門」の中で、映画監督の井筒監督が自腹を切って映画を観て辛口批評する「こちトラ自腹じゃ!」というコーナーは人気がありました。井筒監督のキャラクターに加えて、「自分のお金を払って観たんだから、好きなように意見させてもらう!」という設定から、毎回厳しい批評が行われ、観ている人にとっても非常に参考になる内容でした。
タダで貰うものは「もうけもの」で、貰ったからには悪く書けない、という状況より、まず「お金を払って買う」という手間とお金を使ってもらうことで、真摯な意見を集め、企業側もよりリアルな声を聞くことができます。
こうすると、企業は厳しい意見を目にし、ブロガーは面倒な手間をかけることになり、サービス提供会社は企業もブロガーも集まりにくくなる、というリスクを背負うことになりますが、長期的な効果を考えるとそれらのリスクは微々たるものではないかと思います。

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