人生には難病よりも劇的なドラマがある —『絶望なんかで夢は死なない』を読みました

絶望なんかで夢は死なない

「あなたは病気です。しかも、一生治る事はありません。」

あなたが突然、このように告げられたら、どう思うだろうか。

今までやってきた仕事、追い求めてきた夢、大切な友だちや家族について、どう考えるだろうか。

この本は、23歳で一型糖尿病という「一生治らない」と言われている難病になって10年、今でもJリーガーとして戦い、走り続けている一人の選手の記録です。

「杉山新」という劇的なサッカー人生を歩んできた選手

私は、J2のロアッソ熊本というチームのサポーターという事もあり、同じJ2のFC岐阜に所属する杉山選手の事は、対戦相手として名前を知っている、という程度でした。

杉山選手のことを深く知ったのは、今年の4月頃。

私が(二型)糖尿病と診断され、治療法や改善法を調べている中で、「糖尿病を患いながらも現役のJリーガーとしてプレーしている選手がいる」という記事を見てからです。

 
杉山選手の病気である「一型糖尿病」は、何らかの原因によってすい臓でインスリンというホルモンが作られなくなってしまう、というものものです。

インスリンが作られなくなると、食事などによって体内の血液中に取り込まれる糖分が下げられなくなり、脳卒中や心筋梗塞などを発症し、死に至る危険性が非常に高くなってしまいます。

一型糖尿病は、現代の医学では生涯すい臓の機能が回復しないとされているため、インスリン注射によって、血糖値を下げる事が必要になります。

主に暴飲暴食やストレス、運動不足などによってすい臓の機能が低下する「二型糖尿病」に対し、一型糖尿病は、糖尿病患者の中でも100人に1人程度しかいない、難病なのです。

 
この本では、”難病”である一型糖尿病を若くして患ってしまった杉山選手のサッカー人生が描かれているのですが、作品中に「闘病中のサッカー選手」ということは、ほとんど感じられません。

そればかりか、一人のプロサッカー選手として、人一倍苦労し、人一倍劇的なプロサッカー選手人生を歩んできた記録が綴られています。

 
柏レイソルユースからたった一人のトップ昇格、プロの壁、ヴァンフォーレ甲府への移籍、発病、再契約からJ1昇格、大宮・横浜FCへの移籍、そしてFC岐阜での原点回帰。

日本代表に選ばれるような華々しいサッカー選手、というわけではありませんが、選ばれた人しか所属する事ができないプロのサッカー選手として、J1の舞台に立ち、若くて新しいチームをJ1へと導き、そして今なお、プロ選手として活躍し続けている、劇的な歩みを進んできた選手なのです。

特にヴァンフォーレ甲府のサポーターにとっては、ともにJ1昇格を果たした戦士という事で強く記憶に残っている人も多いことでしょう。

特に杉山選手がユースからトップ昇格を果たした柏レイソルとの入れ替え戦の場面は、今でも心が熱くなる人が多いのではないでしょうか。

シーズンの1試合、1試合の杉山選手や他の選手、監督の雰囲気も伝わってきて、読み進めながらシーズンを戦っていた当時の様子を思い出す事ができます。

ふとすると、難病を患っている選手なのか?と思うほど、他の選手と変わらない、同じように、またはそれ以上に熱く戦っています。

 
「生涯、治る事はない」と言われている一型糖尿病になってから、10年以上、プロサッカー選手として活躍し続けている杉山選手。

一型糖尿病の発症は小さい時になる割合が高い、ということもあり、同じ病気を発症してしまっている子にとっても、強く、大きな勇気をもらえます。

プロサッカー選手として他の選手と競い合い、活躍するだけでなく、普通の健康な人と同じように、好きな人と出会い、結婚し、元気なこどもに恵まれる事もできるのです。

私は幸い二型糖尿病で、克服する事ができましたが、この本を読んで、さらに勇気づけられました。

 
現在、FC岐阜はJ2残留ギリギリの所ですが、何としてもJ2に残留してもらいたいと思います。

そして来年、ロアッソ熊本がFC岐阜と対戦する時に、岐阜まで参戦し、杉山選手に勇気を与えてくれたお礼を伝えに行こうと思います。

 
絶望なんかで夢は死なない “難病Jリーガー”杉山新、今日も全力疾走。
絶望なんかで夢は死なない “難病Jリーガー

Pocket
LINEで送る