サッカー日本代表には「弱者の戦略」が必要だ – 『4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する』を読みました

サッカー観戦は好きですが、日本代表戦のテレビ放送や、深夜の海外サッカーが放送されていると見るくらいです。選手も有名な選手の一部しかわかりません。
戦術やフォーメーションも「4-4-2」とか「3-5-2」、トルシエさんが使っていた「フラット3」という単語くらいしか知りませんでした。
北京オリンピック直前となり、9月からは2010年南アフリカワールドカップの最終予選も始まるので、この機会にサッカーの戦術について少し勉強してみようと思い、『4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する』を読みました。

トルシエ・ジャパンとジーコ・ジャパンの失敗

著者の杉山茂樹さんは雑誌『Number』のライターさんで、UEFAチャンピオンズリーグなどのヨーロッパサッカーの取材歴が相当ある方とのこと。
この本でも1980年代から今にかけてのヨーロッパサッカーの歴史、戦術の変化について、多くの取材資料を基にわかりやすく書かれています。
そして、トルシエ・ジャパンの代名詞である「フラット3」、今なお多くのJリーグクラブチームに根付いている「3-5-2」が、実はすでに時代遅れのものであったことについて指摘されています。
さらに、「空白の4年間」とも言われてしまっているジーコ・ジャパンの失敗について、中田英・中村・小野・稲本の「黄金のカルテット」がなぜ機能しなかったのか、ということについても書かれています。(本の中ではトルシエジャパンの時代も合わせて「空白の8年間」となっています。)
強豪相手に負けても「善戦」といわれ、格下相手に苦戦しても「貴重な勝ち点3を得た」として、問題点・課題点をきちんと指摘する記事をほとんど読むことがなかったため、とても新鮮です。

杉山さんは、「ひいき」が過ぎる?

この本だけでなく、杉山さんの意見に対しては、ネット上の各所で反論意見も多くあります。

  • いっつも「戦術ありき」という主張だ
  • 「サイドアタックが重要」としか言わない。
  • 「ヨーロッパサッカーがいい」と言ってばかり。
  • ヒディンク(ヒディンクコリア)がそんなに好きなのか

Numberの記事を読んでも、戦術やフォーメーションが主体にあるので、「サッカーは戦術でするもんじゃない!」と叫びたくなりますが、この立ち位置、論点、スタンスを常に崩さず、わかりやすく書かれている点はさすがです。
サッカーはまず監督の哲学・思想・信念ありきで、試合に勝つために監督の考えを表現するのが「戦術」である、ということから、基本的な戦術を理解することで、監督の考えやチームの特色、ひいてはその国の文化や国民性まで見えてきます。

サッカー日本代表には「弱者の戦術」が必要

日本代表は、欧米選手のように体格面での不利が大きく、世界レベルの技術を持つ選手も限られています。
FIFAランキングも34位となっており、世界レベルで考えるとベスト16にも届かない「弱者」の部類に当てはまることになります。
アジアの中では強豪の部類に入り、おそらく南アフリカW杯も出場を決めてくれると思いますが、本選でどこまで戦えるかは疑問です。
体格・技術で劣る分、欧米の強豪国と戦い、勝つためには「戦術」が必要です。相手チームを調査・分析し、相手の強みをなくして、自分達の強みをフルに生かす「弱者の戦術」を考え、試合ごとに展開していく必要があります。
そうすることで強豪国相手に「ジャイアントキリング」を起こし、W杯本選でのベスト16入り、またそれ以上の結果についても、現実味を帯びてくるのではないでしょうか。
強豪相手の「善戦」や格下相手の「辛勝」に満足することなく、改善点を探し、より強くなってもらうためにも、まずは基本的な「戦術」を知っておくと良いでしょう。
▼4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する
4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する

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