イケダハヤトさんの『年収150万円で僕らは自由に生きていく』を読んだ

『年収150万円で僕らは自由に生きていく』イケダハヤト・著

プロブロガー、執筆業、コンサルタントとして活動されている
イケダハヤトさんの『年収150万円で僕らは自由に生きていく』を読みました。

「脱お金」と「社会への直接参加」というテーマで、
「お金のために働く」ということに対して疑問を投げかけられています。

「お金を稼がなければならない」という思い込みからの脱却

今も昔も、多くの人が「お金が欲しい!」という欲求を持っており、
最近のビジネス書では「年収1億円稼ぐ」というキーワードも流行っています。

そんな中、イケダさんは『果たしてお金は、自分の自由や時間を犠牲にしてまで
得るべきものなのか』と疑問を投げかけられています。

 
「お金を稼ぐことで自由を手に入れ幸せになれる」という思い込み。
「自由や幸せになるためには、お金を稼がなければならない」という不安。

最近、「お金を稼ぐこと」と「自由・幸せになること」に対して、
考える人が増えているこの疑問に対し、イケダさんなりの主張が書かれています。

イケダハヤトさんとは

著者のイケダハヤトさんは、1986年生まれ。
中学生のときからウェブサイトを運営され、個人クリエイターのアニメーションや
ゲームを紹介するニュースサイトの運営時には月50万PVを超えていたそうです。

早稲田大学政治経済学部を卒業後、2009年に大手半導体メーカーに入社。
しかし、入社直後に合併が決まり、会社が2000億円もの赤字を計上。

それでも滞りなく給与とボーナスが支払われることに対して、
「お金の保障がなくなるという『弱い時分』を会社に預けきっていないか?」
という不安に狩られ、わずか11ヵ月で退職。

その後、ソーシャルメディアマーケティングコンサルティング事業などを行う
ベンチャー企業に「ソーシャルメディアを広める」というミッションを持って
就職されたものの、あっという間に世間にソーシャルメディアが普及したことで
「働く意義」を見失い、またもわずか13ヵ月で退職。

2011年4月に独立。
現在はプロブロガーやコンサルタントとして活動されているほか、
NPO活動などにも積極的にも取り組まれており、
また、奥様と生まれたてのお子様とともに、育児を楽しまれているそうです。

 
タイトルには『年収150万円で』とありますが、
収入について、以下のように書かれています。

 僕は自分のブログ運営、書籍や連載の執筆、公演・研修、企業へのマーケティングコンサルティングで年間500〜600万円の売上を計上していますが、これ以上働いて年収を上げたいとは思っていません。その気になれば1000万は稼げると思っていますが(鼻につく表現で恐縮です)、そこまで頑張りたくはありません。

 <中略>

 むしろ、300万円くらい売上があれば、家族三人(わが家は夫婦+0歳児です)が、なんとかトントンで生きていけそうなので、もうすぐ産まれる家族との時間を増やす意味でも、2013年、2014年はもう少し年収を下げるつもりです。

今回、書かれた内容について、2013年、2014年で体現されていくようです。

生活の「損益分岐点」を考える

この本で共感できたのは、『年収150万円生活は現実的か』という部分。

「年収150万円生活なんてムリだ!」と反射的に答えてしまう前に、
できるかどうか、1度考えてみましょう。

独身で年収150万円の場合、ひと月の手取りは約10万円。
その場合、以下のような配分が考えられます。

家賃・水道・光熱費 5万円
食費 2万円
通信費 1万円
交通費 1万円
雑費 1万円

「家賃・水道・光熱費で月5万って、どんなド田舎だよ!」と思われた方、
都心を離れて郊外で探したり、都心でも築年数などの条件を拡げると、意外とあります。
また、イケダさんは最近流行りの『シェアハウスに住む』という提案もされています。

食費についても朝晩は自炊し、飲み会も月1、2回に抑えれば、実現可能です。

 
「そうは言っても、さすがに年収150万円生活はキツい…」と思われた方、
年収200万円ならどうでしょうか。

年収200万円になると、年収150万円と比べて毎月の手取りが3万円増えます。
増えた3万円で、ちょっといい部屋に住んだり、食費を少し増やしたり、
万が一に備えて貯金もできるかもしれません。

 
実際はもっともらっている方が多いでしょう。
自分の生活において「いくら収入があれば生活できるか」という
損益分岐点を知ることで、「お金のために働く」というプレッシャーが軽くなり、
心の余裕が生まれます。

「何のために生きているのか」という自分のミッションを考える

この本におけるイケダさんのもう一つの主張である
『「直接的な社会参加」の重要性』について、
イケダさんは、多くのウェブサービスやNPO活動を紹介されています。

本の中では、『「パーソナル・セーフティネット」をつくろう』として、
以下のようにまとめられています。

 積極的に直接的な社会参加を行い、多くの人と顔の見える関係性を築くことができれば、それは「パーソナル・セーフティネット」と呼ぶべき、自分自身の万が一の支えになっていくでしょう。
 これはシンプルな話で、たくさんの人を助ければ、いつか自分が困ったときに助けてもらえる、というだけの話です。
 僕はこれまで延べで100団体ほど、NPOの方々の問題解決を無償で行ってきたわけですが、流石にこれくらいの人助けをすれば、僕が飢え死にしそうなときは食料を送ってくれると思います。

 
「それって、普通に会社勤めしている人でも同じことじゃない?」と思われた方、
まさしくそのとおりだと思います。そこでイケダさんからの次の質問です。

「世の中のどういう問題を解決するために、自分たちは日々働いているのか?」

多くの会社は「経営理念」というものが掲げられています。
自分が勤めている経営理念に共感し、実現させるために働いているのであれば、
あなたの仕事は充実していることでしょう。

あなたが会社の社長、個人事業主として活動されていたら、
自ら会社の理念、経営理念、ミッションを掲げて、
実現させるために毎日働かれていることでしょう。

 
自分が「何のために生きているのか」ということを考えると、
自分の使命、果たすべきミッションが見えてきます。
そして、具体的に実現するにはどうしたら良いか考え、
どう働くか、どう仕事に取り組むか、という自分なりの形が見えてくるでしょう。

選択肢が限られ不安定な『年収150万円生活』の結末は

「自分の生活における『損益分岐点』」を知る。
「『何のために働くのか』という自分のミッション」を知る。

この2点において、自分なりの考えを持ち、
今後の生活を送るとしても、やはり不安は残ります。

収入が少ないということは、
必然的に「選択肢」が限られることになります。

生活において必要なものである教育、医療、娯楽。
社会の発展やインターネット技術の進化などにより、
お金をかけなくても手に入れられことも増えてきましたが、
やはり相応のお金が必要となる部分は、多く残っています。

収入が少なくなるということは、
お金があることで得られる選択肢がなくなるということです。

そして、収入が少ないということは、
今の社会において、万が一の状況において、即危機に陥る、
極めて不安定な生活であるということです。

 
イケダさんも、本の中で以下のように書かれています。

 もし、何かの事情で働けなくなったとき、すぐさま僕の家庭は危機に瀕します。妻は仕事をしながら、赤ちゃんの面倒と、働けない僕のケアをすることになります。僕はフリーランスなので雇用保険もありません。

 私事ながら、わが家にもうすぐ子どもが産まれるのですが、私立なら2000万円にも達するといわれる教育費を、フリーランスの僕は到底払える気がしません。子どもは2人は欲しいので、もしかしたら4000万……3人産んだら最大6000万……うーん、「無理ゲー」です。

 現実的に考えて、高額な学費を払うことのできない家庭、若者は増えていくでしょう。わが家もおそらくそんな家庭の一つです。

 
イケダさんの主張の多くは新しいサービスや概念をもとに、
イケダさん個人の考えや理想によるものが多く、
(だからこそ「オピニオンリーダー」と呼ばれていらっしゃるのでしょうけど)
多くの人に納得させたり、理解、共感を得るには根拠や説得力に
欠けているものが多い印象です。

この本の主張である『年収150万円生活』についても、
2013年以降の生活で体現されていくことで、
どのような結果になるかがわかっていくことでしょう。

 
イケダさんの生活がどのようになっていくかはわかりませんが、
私たちが自分の生活における損益分岐点を考え、
自分の社会に対するミッションを考えて、
一人一人の生活のあり方を考えていく必要はあります。

そのことを考えるきっかけとして、
また自分にはない考えを入れる方法の一つとして、
読まれてみてはいかがでしょう。

 
年収150万円で僕らは自由に生きていく
年収150万円で僕らは自由に生きていく

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