『ウェブで政治を動かす!』(津田大介・著)を読みました

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『ウェブで政治を動かす』津田大介・著

今週末、16日の日曜日は衆議院選挙の投票日。
東京都では、東京都知事選挙も行われます。

選挙が目前ということもあり、私も買って読みました。

政治のネット活用のこれまでとこれから

本の中では、ウェブを活用した新たなデモの形、
ネット世論、政治家のソーシャルメディア活用の事例、
そして、これからのネット、ソーシャルメディアと政治について、
書かれています。

世界で最もインターネット、ソーシャルメディアを活用している
政治家といえば、アメリカのオバマ大統領であり、
オバマ大統領のインターネット、ソーシャルメディアを活用した、
政治・選挙活動について、概要がわかりやすく説明されています。

また、日本の政治家もTwitterをはじめとしたソーシャルメディアを
使い始めており、活用事例の紹介や、一方で炎上した事例についても
取り上げられています。

今回の衆議院選挙では、インターネットやソーシャルメディアを活用した
選挙活動は解禁されませんでしたが、今の政治における活用の状況と、
今後活用されるべき方向について十分理解することができます。

ニュースは事実以外をすべて切り捨て、
真実は自分で見つけて自分で判断する

本の中で、今のマスメディアの報道に対する信頼性の低下、
政治におけるインターネットやソーシャルメディアを活用した
情報公開の広がりについて、書かれています。

今までも、インターネットを活用して政治に触れる機会はあったのですが、
より身近に感じられる環境が整って来たのではないかと思います。

また、あらゆる角度からの情報が入手できるようになったことで、
既存のマスメディアからの一方的な情報提供のみで判断することなく、
物事を考えられるようになってきています。

しかし、それでも多くの人が政治に触れ、
選挙において投票するための情報を得る手段として、
テレビなどのマスメディアの影響力は依然として大きいものがあります。

これについて、1990年代前半に連載されていた『加治隆介の議』という
マンガにて、このように書かれています。

実際問題 官報や新聞の政治欄を隅から隅まで読む人は極めて少ない
大体がテレビのニュース番組で政治の動きを知るんだ

それに各局のニュース番組を比較しながら見る人も少ない

殆どが毎日習慣のようにつけているニュース番組から情報を得ている
それが総てだ

この作品はインターネットが普及する前のものであり、
インターネットによる政治に関する情報が増えてきてはいるものの、
大きく変わっているとは言いがたい状況です。

実際、官報も新聞の政治欄の記事もインターネットで読むことができますが、
すべての記事を読んでいるという人は極めて少ないでしょう。

今後、より身近に、簡単・簡潔に、政治の動きが確認でき、
一人一人が政治に対して自覚を持ち、意思を持って行動できる
仕組みづくりが必要です。

また、津田さんの本で書かれているように、
マスメディアは「政治」ではなく、「政局」に関する話題を多く取り上げ、
政治に対して「無関心にさせられて」きています。

このことについて、『加治隆介の議』では、
主人公の政治家・加治隆介が以下のようなセリフを言っています。

日本のテレビの報道を信用するな 新聞も信じるな 当然週刊誌もだ

ニュースは事実以外は全部切り棄てていい!
真実は自分でみつけて自分で判断しろ

これは日本の報道番組が事実だけでなく、
キャスターが私見を述べるということから言ったものです。

多くの人はテレビからしか情報を得ない。
そして、テレビのキャスターが今後の展望について私見を述べ、
事実と一緒に判断材料を与える。

この危険性を踏まえて、
「事実以外いらない。真実は自分で判断しろ。」と言っています。

インターネット・ソーシャルメディアによる、
政治の情報が増えて来たことにより、
マスメディアに依存しなくても、自分で事実を確認し、
真実を判断するための仕組みが整ってきました。

私たち一人一人が自覚を持って行動し、
日本という国で生活していくためにも、
私たち一人一人が、事実をもとに、真実を判断していく力を
身につけていかなければならないと思います。

津田さん『「おわりに」に代えて』にて、
本のタイトルが『ウェブで政治が動く』から『ウェブで政治を動かす!』に
変わった、ということについて、以下のように書かれています。

 われわれが「政局中心の政治」に慣れていく過程で、いつのまにか政治に興味を失い、政治家に直接語りかけることをやめてしまったことを思い出したからだ。
ウェブに一方的な期待をかけるだけでは政治は動かない。ウェブは双方向性が命である。最新の情報技術によってもたらされた豊かなコミュニケーション環境を、政治家や官僚との対話に生かさなければ世の中は変わらないし、いつまでも「お上」に任せている場合ではない。ウェブを利用して政治家に語りかけ、政治を自らの手で「動かす」という当事者意識が、今われわれに求められている。

動かすためには、物事を判断する必要があります。
判断するためには情報の中にある事実から、
真実を見極めなければなりません。

政治家任せ、人任せでなく、私たち一人一人が「動かす」。
その動かす力を身につけるための基礎知識が、
しっかりと書かれている一冊です。

日曜日の投票日には、まだ十分に間に合います。
本を読んで、ウェブを活用し、事実をもとに真実を見つけて、
自分で判断して、投票に行きましょう。

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